クラシックギタリストやフラメンコギタリスト、いわゆるガットギターの演奏家が人知れず悩んでいるテーマ、それが「指弾きでの速弾き」です!
ここで言っているのは、アルペジオを使ったり、スラーなど左手のテクニックを使ったものではありません。
フラメンコギターでは「ピカード」と呼ばれるimの連続で速く弾くテクニックです!
実は、これこそがギターで最も難しいテクニックの一つですし、はっきり言って、どんなに練習しても普通はできるようになりません。
しかし、不思議なことにできる人は最初からできるんです。
そして、できる人にやり方を聞いてもがっかりします。なぜなら、本人もなぜできるのかわからないからです!
このように「練習を積み重ねてもどうにもならないが、できる人は最初からできる」というような、いわゆる「才能」の話になってくる時こそ、カラダ♮の出番です!
今回の記事では、imの速弾きができるようになる特別なフィジカルトレーニングを教えましょう。このトレーニングをきちんとやるならば、速弾きだけでなく、右手を安定させ、あらゆる音楽表現がやりやすくなります!
*YouTubeでも同様の内容を動画で配信しています。ぜひご覧ください。
どこからが速弾き?
さて、まずは少しおさらいしておきましょう。
「速弾き」ってなんでしょうか?
実は、ギターの世界以外では、あまり「速弾き」という表現は使いません。
ピアノやバイオリンで「速弾き」と言う人はそんなにいないですし、クラリネットで「速吹き」、打楽器で「速叩き」なんて聞いたことないですよね。
それぐらいギター以外のほとんどの楽器では、速く演奏するのは、音楽表現の一つとして当たり前のテクニックなんです。
たとえばメトロノームのテンポを160に設定してみましょう。
速度標語はなんと表示されるでしょうか?
Vivaceです!日本語に直すと「元気に速く」ですね。一番速いPresto、すなわち「急速に」ではないんです!
しかし、ギターの指弾きの基準から言えば、これは超高速のテンポです。
実際あなたは、テンポ160の速度に、imの連続を16分音符で入れられますか?
ちょっと難しい人が多いと思いますが、逆にこれができるようになると、いわゆる「速弾き」の入り口に到達できますし、音楽表現の幅もぐっと広がります!
そんなわけで、4分音符=160で16分音符を弾くのを一つの基準にしてみましょう。
それは音楽を「元気に速く」表現するための、基礎的なテクニックになります。
どうやったらできるようになるの?
速弾きのトレーニング方法については、間違った通説や、誤解がたくさんあります。
一番よく言われるトレーニング方法は、メトロノームに合わせて弾き、ゆっくりなテンポから段々速度を上げていくってものです。
この練習はほとんど効果が上がらないので、やらないようにしましょう。少しは速度が上がるかもしれませんが、すぐに限界にぶち当たってしまいます。
これは成長する竹を毎日飛び越し続けて、ジャンプ力を上げようとする発想と同じです。良く言えば、忍者的発想、悪く言えば少年の妄想です!
他にも、始めの数音だけ速く弾いてみたり、弦をimでつまんで弾いてみたり、逆指を避けたりと、色々な工夫を凝らした練習法が存在します。
しかし、指の動きに注目した練習法は全て、少しは助けになっても決定的な解決法になりません。
なぜなら、重要なのは指ではなく、肩や胸だからです。
弾いている時に肩を自由に動かせるならば、自然と指は速く動いてくれるようになります。
なぜそのような結論になるのかを説明しようとすると、膨大な知識が必要になるのでここでは割愛します。
しかし、理論はわからなくても、この問題に長年悩んできた人ほど納得感があるはずです。
逆に、納得できない人は、実際に確かめてみてください!
最初の1週間は、メトロノームのテンポをちょっとずつ上げていく練習でどこまで限界が上がるかを試して、次の1週間は、わたしがこれから紹介する練習法をやってみて、それぞれの結果を比べてみましょう!
具体的なトレーニング方法!
速弾きのための具体的なトレーニングは簡単です。
右肩を回しながら、ギターを弾きます!
1.ギターを構えて、右肩を上下に動かす。
2.右肩を前後に動かす。
3.上下、前後の4点を通る円を描くように、右肩を動かす。
4.右肩に前まわし、後ろ回しをさせながら、ギターを弾く。
どんなパッセージでも曲でも大丈夫です。肩を回しながらギターを弾いてみてください。
この時に右肩ではなく、ひじ、頭や体全体が動いてしまったり、右肩の動きが途切れたり、円にならなかったりしないように気を付けましょう。
また、多くの人が肩の運動ではなく、演奏を優先してしまいます。このトレーニングをする時は、やわらかく綺麗な肩の円運動になるのを最優先に意識してください。
やってみるとわかりますが、ほとんどの人にとってかなり難しいはずです。
フワフワするような不快感があったり、汗が出てきたり、異様に疲れたりするのは、トレーニングの効果が上がっている証拠です。
このフィジカルトレーニングでしっかり効果を実感するためには、最低でも1日15分を2、3日は試してみてください。
1週間もすれば、右手の動きが洗練され、以前より速く弾けるようになっていることに、あなたは驚かれるでしょう!
一度、速く弾けるようになってしまえば、練習するしないに関わらず運動能力は落ちません。いつでも速く弾けるようになります。
表現したい音楽があるのに、そういった壁に阻まれてしまって、悔しい思いをしている人は多いと思います。
カラダ♮の知識は、そういう人のためにあります。ぜひ他の情報もチェックして、理解を深めていってください。