足台の代わりに使えるアイテム!【クラシックギター向け腰痛対策】

上のような器具を使って、下のような感じの姿勢で演奏するのが伝統的な奏法ですね。

フランシスコ・タレガ(Francisco de Asís Tárrega y Eixea, 1852年11月21日 – 1909年12月15日)

ただこれ、人間工学的には相当無理がある姿勢です。
左足を上げることによって腰は曲がりますし、ギターが体の中心線より左にいってしまうので上半身をねじって調節しなければいけません。

事実、足台を使ってて体に負担を感じてるギタリストをごまんと知っています。
というより、足台を使ってて全く問題ないってギタリストの方が少ないぐらいです。
こんなこと書くと、「セゴビアを見ろ!80才まで足台一つで弾けてるじゃないか!?」なんて言われそうですが、
人間の一般的な身体構造に適っているかどうかは、特異な成功例を挙げられても証明できません。
セゴビアやブリームやイエペスには簡単だったとしても、大多数の人はそうでないなら、ちょっと考えものです。

ただ足台を使うと、この持ち方特有の「ギターとの一体感」があります。
これは確かに何にも代えがたいものなので、足台を使うのをやめてしまうかどうかは各々の身体と相談して下さい。

とにかく、足台は万人向けではありません。自分の身体にどうしても合わないなら伝統を見直してみましょう!

ギターレスト、ギターリフトのすすめ

足台がつらくて仕方がないというかた・・・

ギターレスト、ギターリフトです!!

わたしも足台では本当につらかったので、色んなものを試しました。
5つ種類を紹介していますが、根底の発想はどれも同じで、左足を持ち上げずに済むようになっています。

ギターレスト、リフトの良さは・・・

1.ギターがある程度身体の中心線に近づいてくれるので、身体をねじらなくてすむ。
2.ヘッドの高さが自然な位置にきやすい。
3.足を上げる必要がなくなるので「腰痛よ、さようなら!」

です。

ただ不満な点もあって、
右足に触ってるギターのおしりの部分が低くならず、ギター全体が少し高い位置にきてしまいます。
結果、少し浮いたような感触があり、安定度で言えばやっぱり足台に軍配が上がると思います。
また、吸盤を使うアイテムが多いですが、吸盤の劣化が早いです。すぐに吸い付かなくなるので困ります。
熱湯で洗えば機能を回復しますし、替えを通販で取り寄せられるのですが、ちょっと面倒くさい・・・。

しかし、わたしにとっては上に挙げたメリットが大きすぎて、それには目をつぶってしまいます。
足台でどうしても苦しさがある方は試してみる価値大です!

ジストニアのリハビリにもおすすめ!

ギタリストでジストニアの症状がある場合、これらの器具を使ってリハビリするのをおすすめします。

というのも、普段の弾き方、姿勢を続けていると、ジストニアになってしまった指や腕の緊張からなかなか離れられず、新しい神経回路を作ることがより難しくなってしまいます。
ギターのジストニアは、身体とギターの位置関係が原因である時も多いので、無理のない持ち方をするギターレストはとてもリハビリに向いています。
実際に、わたしのところに来られた方には、これを使ってレッスンすることが多いです。

わたしのジストニア克服の体験については、別サイトで詳しく解説しています。
参考記事:音楽家のジストニアは治るのか?【完治した体験談】

試行錯誤されてきた伝統奏法

足台を使うのは伝統的な奏法です。
しかし、伝統を守るために体を壊してしまったら本末転倒です。

バイオリンでも一昔前まで「指を指板に対して平行に押さえろ!」と教えていたそうですし、(今では斜めに押さえます。)P.カザルスが出現するまではチェロは肘を脇につけて演奏していました。(今では肘を軽く開くのが一般的です。)
そんな「クラシックの顔」とも言える楽器でもそうなんですから、クラシックギターでもどんどん常識が変わるのは決して悪いことではありません。

足台が一般的になる前は、名ギタリスト達も試行錯誤してたようですし、D.アグアド大先生が考案した装置なんてとんでもなく大胆です!

Francisco de Asís Tárrega y Eixea

ディオニシオ・アグアド(Dionisio Aguado y García, 1784年4月8日 – 1849年12月29日)

わたしはこれが普及しなかった理由は、完全に外見上の問題だと思ってます・・・。正直ダサすぎませんか・・・??

伝統があることは素晴らしいことですが、つまるところ音楽が良ければそれでいいのですし、究極的な正しい姿勢や持ち方なんてのはありません。
ニュートラルな心でギターに向き合っていけば、おのずと「機能する形」にどんどんなっていくでしょう。
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