クラシックギターの教則本はいろいろな種類がありますが、どんな人にも絶対おすすめなのが、この「カルカッシ・ギター教則本 溝淵浩五郎 編著」です!
クラシックギターの最大の特徴は、何百年もの歴史を持つクラシック音楽を奏でられるギターという点です。
そのために他のジャンルよりも、比較的難易度が高く、初歩の段階をどのように学んでいくかは大きな問題です。
今回は、なぜカルカッシ・ギター教則本 溝淵浩五郎 編著をおすすめするのか、本書のすぐれた点をお伝えしましょう!
わかりやすい
最初のページから目を通していくと、一つ一つの説明が変にくどくなく、シンプルな雰囲気です。
実は、教則本などで、いくら正しいギターの弾き方を説明しようとしても限界があります。
文字を使って説明するより、実際にギターを弾いてる人を見る方が早いです。
そういうわけで、教則本において文字は必要最低限で問題ありません。変に多いと、初心者は混乱します。
本書は、その点で(昔の先生なので、古めかしい精神論は散見されますが…)シンプルでわかりやすいデザインになっています。
教則本の文字は少ない方がいい
クラシック曲が中心
クラシック様式の練習曲が多数収録されています。
これはなかなか大事なポイントで、さまざまな現代の音楽は元をたどればクラシック音楽から出てきています。
全ての基本となるクラシック様式の曲に最初に触れられるのは大きなポイントです。
もちろん音楽的に面白い曲ばかりではありませんが、クラシック様式の基本である「ある音のまとまりと別の音のまとまりが対応しており、そのまとまりのセットはまた別のセットと対応する」というアイデアの一部形式、二部形式、三部形式、ロンド形式などの曲が主です。
クラシック様式の基本については、例えば、クラシック作曲家の代表格、ベートーヴェンのピアノソナタ第一番を見てみましょう。
アウフタクトを除く、1小節目は2小節目とセットになっています。(黄色線2本)
しかし、大きく見ると、そのセットは3、4小節目のまとまりとセットになっています。(赤線2本)
さらに大きく見ると、最初の4小節の「問いかけ」は次の5~8小節目の4小節で「応え」られています。(赤線2本と青線2本のセット)
このような「音楽の構造」を感覚的に理解するには、クラシック様式の曲から学び始めることをお勧めします。
これについて、カルカッシギター教則本は文句なしの教材です。
音楽の基本の形が学べる
わりと曲がおもしろい
クラシックギターの初心者は、ほんとうにおもしろい曲を弾けません。(参考記事:【クラシックギター】どれぐらい練習したら上級者になれる?)
ピアノなどの教則本バイエルも面白くありませんが、クラシックギターの教則本はそれに輪をかけて、おもしろい曲がありません。
しかし、溝淵浩五郎はその中でも、かなりおもしろい方の選曲をしてくれています。
弾いていて楽しいと思える曲が多いかどうかは、教則本の価値をほぼ決定します。
そういう意味で、いくつかあるカルカッシギター教則本の中でも「溝淵浩五郎 編著」はとても優れています。
飽きにくく続けやすい
たくさんの曲が載っている
初心者が効率よく上達するには、いろいろな曲を弾くことに尽きます。
スケールなどの単純なエクササイズも効果はあるのですが、やはり曲になってるものが良いです。
本書には、たくさんの曲が掲載されており、初心者が練習する曲を確保するためにとても良いです。
もちろん、それでも十分な曲数ではありません。
クラシックギターの名曲をある程度弾きこなせるレベルに到達したいのならば、目安として1000曲ぐらいは譜読みしなければいけません。
教則本に載っている曲以外に、簡単な曲集などを買って、完璧に仕上げなくてもよいのでどんどん弾き進めてみましょう。
効率の良い練習ができる
歴史の淘汰をくぐり抜けてきているという点だけ見ても、信頼に値すると言えるでしょう。
何かこだわりがない限りは、初めての入門書として本書をお勧めします。
もちろん教則本の曲だけでなく、自分の好きな曲もどんどん弾いてみてください。ギターの腕がめきめきと上達していくでしょう!