ギターの中でもクラシックギターを選んだあなた!気が合いますね!
あなたもきっと、この楽器のなんとも言えぬ音色の美しさ、魅力に惹かれたんではないでしょうか。
でも、せっかく始めたんであれば、できる限り上手になってみたいですよね!
今回はプロギタリストが、クラシックギターを練習するにあたって気を付けておくべき10個のポイントを紹介します。
ぜひ参考にしてくださいね。
目次
フレットとフレットの真ん中はおさえない!
フレットとは、ギターの指板に等間隔で並んでいる金属の棒のことです!
初心者のうちは特に、このフレットとフレットの真ん中を押してしまいがちですが・・・!
本当は「フレットの近く(ボディに近い側)」を押します。(写真の青丸)
実はこれで音の発音が全く変わってきます。
左手は脱力して押さえるのが理想で、少ない力で安定した押さえ方ができればできるほどいいんです。
そのためには押さえる場所をフレットのすぐ近くにしなければいけません。
音がびりついてしまったり、上手く発音できないのは、押さえる力の問題ではないんです。
「ギター上手くなるために握力鍛える!」ってのは、間違った考えなんですね。
左手の指は「おさえる」より「かぶせる」!
私も教えていると「〇弦の〇フレットをおさえて~」なんてよく言うのですが、本当は左手で「おさえる」とテクニックに限界がでてきます。指の先でおさえると、弦と指の接触面積が狭くなって、弦の質感や反発力を感じることができなくなります。
そうではなく、指の腹を弦に「かぶせる」と、神経がよく発達している面で広く弦を捉えることができるので、音のビリつきも少なくなりますし、指のタコもできにくいです。
難しいコードをおさえるなど、指を立てる必要がある場合は、この限りではありませんが、基本、左手は指をかぶせるように弾きましょう!
何時間弾いても手を疲れさせない方法です。
左手親指はそえるだけ!
かの名作「SLAM DUNK」には「左手はそえるだけ」との名言がでてきますが・・・・
クラシックギターは「左手親指はそえるだけ」です。
前項でもお伝えしましたが、ペンチではさむように左手を使ってはいけません。指同士ではさんでしまうと動きが悪くなります。
出来るだけ挟み込む力は使わないように、親指はいつもリラックスできるように意識しましょう。
セーハのコツ!
セーハは初心者にとって大きな関門ですよね!これを乗り越えられたら楽しくギターを弾けるようになります。
セーハを練習する時に以下のポイントに気を付けましょう。
1.おさえる必要のない弦までおさえていないか。
セーハの時、全部の弦をおさえなくても大丈夫です!
Fコードの例で説明すると、人差し指で6本弦全部をおさえようとすると辛いですが、実は中指、薬指、小指で押さえている5、4、3弦はおさえる必要がありません。
つまり、人差し指でおさえる弦は、6、2、1弦だけになります。
赤丸の弦は他の指で押さえてあるので、人差し指の力が必要なのは青丸の弦のみです。
セーハで6弦全部をおさえなければいけない時なんて本当に限られています。
おさえなくてよい弦からは力を抜く!省エネ作戦です!
と言いますか、ギター上級者になるためには、不必要な力をどれだけ抜けるかどうかが鍵になってきます。
2.練習して上達したら、セーハした全ての音が鳴るものだと思い込んでいないか。
ほとんどの人は人差し指で6本弦全部をおさえた場合、どうしても3弦がなりにくいです。
これは人差し指の骨格の関係上、仕方ないことでしょう。
それなので、ギターの達人だったとしても、セーハはどこかの弦が鳴りにくいものなんです。
人差し指の面には、弦をおさえやすい所とそうでない所があります。それを踏まえた上で、工夫することができます。
例えばわたしは、他の指との関係上、鳴りにくいスポットで押さえたくないので、4弦までのバレーでよいのに6弦まで人差し指をかぶせたりします。(写真青丸)
もちろんこの場合、人差し指の4弦と2弦にあたる部分に意識を集中します。
3.楽器が悪かったり、弦のテンションが高すぎないか。
ギターの質が悪かったり(弦高が高い、不均等など)、弦のテンションが高すぎる場合はセーハが難しくなります。
この場合は、使う楽器や弦を変えるしか仕方ありません。
そのままおさえこもうとする練習を続けてしまうと、筋肉の緊張が癖づいてしまいます。
そうすると、最悪腱鞘炎などの問題が起きる可能性も・・・。気を付けてくださいね。
4.カポタストを使ってもいい。
これは補足の情報ですが、クラシックギター用のカポタストってのものがあります。
ほとんど使う場面はないと思いますが、何かの伴奏などでFやB♭コードのようなセーハがたくさんでてくる時は重宝します。
わたしは日本歌曲の伴奏を頼まれた時に使いました。歌手に合わせて、簡単に移調できるので便利でしたね。
セーハがつらすぎる曲を弾く時は、カポタストの使用を考えてみましょう!
右上腕をギターに乗っけない!
右上腕って??という方はこちらの写真をご覧ください。
まさにこれのことを言っております。
実は右上腕の裏側には太い神経が通っていて、ここが圧迫されると指が動きにくくなります。
右腕は肘から先をギターに軽くのせるようにしましょう!
ただ色々な特殊な事情がある場合は別ですが・・・。
写真は特殊すぎる例です。いつでも例外はありますね。
基礎練習はほどほどに!
基礎練習はもちろん効果的です!
しかし、独学の場合は特に、目的のない基礎練習になりがちです。
アルペジオをやるなら、なぜやるのか?スケールならその練習の目的は?
目的が明確でなければ、ほとんどが時間の浪費になってしまいます。
わたしも基礎練習に時間をかなり割いてきましたが、なんとなく惰性でやってしまったのは良くなかったです。
参考記事:クラシックギターの基礎練習【目的なしにやらないで!?】
多くの人は「基礎が大事!」信仰を持っていますが、それは基礎練習してる自分に安心したいだけだったりします。
それなので、基礎練習はほどほどに!場合によっては、曲を弾きながら基礎練習できます。
ギターの構え方は自由でいい!
ギターの構え方については、色々疑問が出てくると思います。
「ギターのヘッドが高い方がいいの?」
「指板が見れるようだとダメなの?」
「左足の高さや体に対する角度は?」
「ってか、足台使うと腰がいたい・・・★」
実は、究極的な「クラシックギターの正しい構え方」なんてものは存在しません。
なぜなら、わたしたちは一人一人違った身体を持っていますし、「正しい構え方」はあくまで「止まってる時の話」で、本当に大事なのは「より良い弾き方」つまり「動いている時の話」だからです。
ギターを弾く動きが洗練されていくと、自然に構え方は決まってきます。
反対に「静止画的な理想の構え方」を追い求めると落とし穴にはまってしまいます。
求めるべきは「より良い動き」であり、そこから自由度の高いニュートラルな構え方が決まってくるんですね。
まあ観念的な話はここまでにしておいて、とりあえず先人たちが試行錯誤して、たどり着いた答えはこれです。
「アルハンブラ宮殿の思い出」で有名なフランシスコ・タレガ先生です。
こんな感じだとギターを弾く際、両手が色んな動きに準備なしに入っていきやすく、他の姿勢よりもたくさんの選択肢があるってなわけです。
写真を見ると、足台を使って左足を上げていますね。
現代では、足台に加えてさまざまな器具が発明されています。
足台ではなくギターレストやギターリフトを使う場合は、伝統的な構え方から離れることになります。
構え方にあまりこだわらず色々な選択肢を試していってみてください!
クラギの「スラー」は音楽記号の「スラー」ではない!
音楽記号には「スラー」と呼ばれる、なめらかにフレーズをつなげるものがありますが、クラシックギターのテクニック「スラー」とは完全に別物です。
ギターの「スラー」は、アコギやエレキの世界では、ハンマリングオンとかプリングオフなどと呼ばれる、左手だけで音を出す奏法のことです。
しかし、別物であるとわかるだけではまだ不十分です。
ギターの「スラー」は、音楽記号のスラーと楽譜上は似ていますが、なめらかに弾くのは意外に難しく、しっかり発音しようとすればするほどつっかえて聞こえる時があります。
ギターで音楽記号のスラーを表現する場合、「スラー」のテクニックを使わずに、音量をすこし抑え目にして、音と音がつながる様に弾いてやった方がそれらしく聞こえます。
クラシックギターの「スラー」と音楽記号のスラーは異なるどころか、場合によっては相反してしまうものなので、扱いには注意です!
アポヤンドを使おう!
アポヤンドとは、右手で弦を弾く時、弾いた隣の弦に寄りかからせる奏法のことです。
アポヤンドに対してアルアイレがあり、これは弦を弾いた時に指をそのまま空中に逃がす奏法です。
大事なのはアポヤンドを音作りの基準にするということ!
アポヤンドは音が安定して出やすく、弦の振動方向が表面板と並行になるので、綺麗な音色になりやすいです。
機能上の問題があるので、大体アルアイレで弾いてしまいがちですが、アポヤンドのような音色で弾くように心がけましょう。
ギターは音色が命ですし、ペンペンはじく音で弾いてしまう癖をつけると、とっても損です。
反対にアポヤンド(もしくはアポヤンドのようなアルアイレ)をうまく使えると、ギターならではの魅力がどんどん出てきます。
伝統にとらわれないで!
「常識とは18歳までに身に付けた偏見のコレクションのことを言う」
— アルバート・アインシュタイン
アインシュタインも言う通り、伝統や常識に囚われない方がよいです。
そもそもクラシックギターの伝統は、ピアノやバイオリンのそれに比べてまだまだ未発達だと私は感じています。
わたしは家族にチェリスト、ヴィオリスト、ティンパニスト、マリンビストがおり、友人としても多くのプロフェッショナルなクラシック演奏家がいますが、彼らに楽器が違うと常識が全く変わることを教えられました。
また私自身がバイオリンやピアノを勉強することで、ギターの伝統を客観的に見れるようになりました。
もちろん、伝統は時間をかけて洗練されてきた、理にかなった方法ですから、それを無視するのはよくないでしょう。
しかし、クラシックギター愛好家の方はありもしない「正解」に気を取られるより、自由にギターを弾いて楽しんでいってください。
もしかすると、そこからあらたな伝統につながる大発見があるかも知れません!
まずは教則本に則ってやってみたり、Youtubeで初心者に教えている動画を探してみたり、先生に習いに行ってみてください。
情報を集めながら練習を続けていけば、これから進む先のイメージが見えてくるはずです。
ギターは一生楽しめる楽器です。自分のペースでゆっくり取り組んでみましょう!